良いものが口コミで売れていた時代
産業革命以降、人々の暮らしを変えたのは間違いなく「ものづくり」だった。
蒸気機関が登場し、大量生産が始まると、技術力こそが経済の主導権を握る時代になった。
熟練の職人技が機械に置き換えられていくなかで、「良いものをつくる」ことが企業の存在意義を支えていた。
かつては、良品を作れば自然と人の口コミが広がった。
地域に根ざした商いでは、「あそこの職人は腕がいい」と評判が口コミで伝わり、そこに信頼が生まれた。
しかし、時代は急速に流れて個人がメディア化したと言われる世界では、自然な口コミの声はあまりにも小さくなった。

技術と情熱に“伝える力”が加わったとき、はじめて時代が必要とする価値になる
現代において「良いもの=売れる」は、もはや成立しない。
技術も品質も一定レベルを超えて均質化し、消費者は「知らないものを選ぶ理由」を持たない。
情報があふれる社会では、「知ってもらう力」こそが企業の生命線となった。
しかし、情報の発信源がインターネットに移ってからは、口コミもキーボードの向こう側にある。
人とのつながりが「検索エンジン」と「SNS」へと姿を変えたのだ。
いまの時代、商品は「誰かに届く仕組み」を持たないと存在しないのと同じ。
WebサイトやSNS、広告、SEO、メール配信。
すべては「良いものを伝える技術」であり、ものづくりの延長線上にある。
つまり、作った後の努力が、評判を呼ぶ時代になったということだ。
「良いものを作れば売れる」という言葉には、誠実なものづくりの精神が込められている。
けれど、それだけでは届かない人があまりにも多い。
良いものほど、誰かに伝える工夫を怠ってはいけない。
技術と情熱に“伝える力”が加わったとき、はじめて時代が必要とする価値として広がっていく

ものの価値から体験の価値への転換
「良いもの」と言う意味も伝え方も今や変化している。
技術的に素晴らしい商品も技術を売る時代ではなくなった。
ブランディングが叫ばれているのは、「何を買うか」より「誰から買うか」が問われる時代だからだ。
さらに言えば、消費者が求めているのは「買う瞬間」ではなく「使い続ける体験」そのものだ。
いま、各分野のトップを走る企業は、精密な技術を誇らない。
かわりに、その商品が人の暮らしや心をどう変えるのか――そこを語っている。
生活の中に小さな喜びや安心をもたらす“意味”の物語を届けることで、人々の共感を得ているのだ。
機能や性能を競うだけでは、人の記憶には残らない。
共感に裏打ちされた体験が、ブランドという信頼を形づくる。
これからの時代に必要なのは、技術を伝える力ではなく、「想いを共にする力」なのかもしれない。
私が伝えたいのは、技術が必要とされなくなったと言うことではない。
技術は必要だ。
しかし、技術そのものより、その技術にこだわる心意気や情熱や物語が人の心を動かし購買行動になるということを伝えたい。
最後に手前味噌ですが、私が提供する「すけっと広報」は、良いものをより多くの人へ届けることを目標にしております。
「良いものは作れば売れる時代」から「伝える努力が必要な時代」に変わっても、職人やプロフェッショナルの心意気は変わりません。
「すけっと広報」で、伝える努力のお手伝いをさせていただけると幸いです。

コメント